北海道三菱トピックス

HOKKAIDO MITSUBISHI TOPICS

北海道三菱ラリー部戦記~2025ARKラリーカムイ編(レポート)

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2025年7月5日(土)、2025年シーズン初のグラベルラリーとなる全日本ラリー選手権第5戦『2025 ARKラリー・カムイ』が開催されました。
開催地はニセコ町を中心に、蘭越町・倶知安町・真狩村・京極町といった後志羊蹄山エリアの自然豊かなステージ。
全長約100kmにおよぶハイスピードかつ過酷なグラベル路を舞台に、北海道三菱の技術スタッフが現地に派遣され、参戦チームを全力でサポートしました。

■北海道三菱ラリー部!メンバー紹介

今回、現地でのサービスを担当したのは、名付けて“北海道三菱ラリー部”の3名です。

  • 豊平店 石川(写真左:ラリー部隊長・頼れるリーダー)

  • 発寒店 赤木(写真右:2回目の参加。知識豊富な「語れるエンジニア」)

  • 里塚店 宮本(写真中央:入社3年目のヤングエンジニア。今回がラリー初参戦)

それぞれの持ち味と専門性を活かしながら、競技中の点検・整備・トラブル対応など、サービス全般を担当しました。

ラリーサービスの初日は、車両が競技に適合しているかを確認する「公式車検」および事前点検からスタートします。
保安基準・安全装備などは一般車と異なり、ラリー車ならではの規定が多数あるため、細かな確認と調整が求められます。

診断機によるデータチェックに加え、目視・手触りなどの感覚も使って、あらゆる箇所を丁寧に確認。
当たり前のことを、確実に、正確に行う。整備士としての基本姿勢が問われる場面です。

■スピードと判断力が求められる現場

ラリー競技中、整備に使える時間は非常に限られています。
その中で、いかに的確に、スピーディに作業を進めるかが重要なポイントです。

今回も支援するチームは【TY北海道三菱 エクリプスクロスPHEV】
同じクラスには、トライトンやハイラックスといったパワフルなピックアップトラックが参戦しており、相手に不足なしどころか格上との対戦と言っていいレベル。
著名なモータージャーナリスト・竹岡圭さんが相棒のモモトンを駆るチームや、俳優の哀川翔さんが総監督をつとめるチームも同クラスにおり、注目度の高いレースとなりました。

■高温・ハード路面でブレーキに異常

ニセコの夏としてはやや高めの気温の中で、ラリー車は全開走行を続けました。
その影響で1回目の整備では、「フェード現象(※)」が発生。
ブレーキパッドの温度が上がりすぎたことで制動力が落ち、ブレーキオイルのエア抜きなどの対応が必要となりました。

※フェード現象:高温によりブレーキパッドの摩擦力が低下し、ブレーキが効きにくくなる状態。

気温・湿度・スピードの三重苦ともいえる環境のなか、整備チームは汗まみれになりながら、45分間で必要な対応を完遂しました。

■限られた時間での多重作業

夕方のサービスでは、ブレーキパッドを交換しつつ、以下の作業を並行して進めました。

  • 故障診断機(PC)を用いた修復作業

  • サスペンションや下回りの損傷チェック

  • 泥除け部の補修(マッドフラップ)

1つの作業に集中するだけでは間に合わない状況下で、3名が連携しながら効率的かつ正確に整備を実施。
“現場力”が試される、まさにサービスエンジニアの腕の見せ所でした。

■翌日も続くトラブルとの闘い

翌朝の15分間サービスでは、洗車・点検を迅速に終え、車両をコースへと送り出しました。
ところが最終セクションを終えた車両がピットに戻ると、再びブレーキ周辺に異音が。

石川隊長いわく「今回のラリーは、ブレーキに苦しめられる戦い」とのこと。
1日目は乾燥した砂利路面が多く、泥の詰まりよりも砂利の噛み込みがブレーキトラブルの原因に。

ピットで車両を誘導しながら異音の発生源を特定し、目視点検の末にブレーキディスクに挟まる石を発見・除去。
下回り点検とともに、ブレーキオイルの交換を実施し、「頑張れよ」と念を込めて汚れを拭き上げ、最後の20km走行へと送り出しました。

■結果は堂々の「クラス2位」!

過酷な100kmを無事に走破したTY北海道三菱エクリプスクロスPHEVチーム。
トライトンやハイラックスを下し、クラス2位という素晴らしい成績を収めました!

北海道三菱ラリー部の総評としては、隊長石川いわく「サービスの評価点は満点!」とのこと。

ドライバーが自信をもってアタックできる車両コンディションに整えることができてこその2位という結果だったのではないでしょうか。

日々の業務と両立しながら、過酷な現場で学び・挑戦を続ける北海道三菱ラリー部。
彼らがラリーの現場で培った整備力・判断力は、日常業務においても大きな財産となっています。

■今後のラリー部にもご期待ください

普段は皆さまのカーライフを支える整備士たちが、限界に挑むラリーの現場で得た学びは、確かな自信と技術の向上につながっています。

お近くの店舗でラリー部メンバーを見かけた際には、ぜひ労いのお声がけをお願いします。

北海道三菱ラリー部、次なる戦いの舞台はどこか――
今後の活躍に、ぜひご注目ください!